義務教育の多様性の限界

多様な学習促す? 差別を助長? 不登校の生徒を支援する「教育機会確保法」を分析 - 弁護士ドットコム
 このニュースには前々から注目していた。ついに日本でオルタナティブ・スクールが認められると思ったからだ。不登校の子どもと接する度に学校に戻そうとすることは違うんじゃないか、と感じ続けてきた。そのうちの何人かは学校に通うようになったが、それは「自分にとってここにいることが最善だから」と思って通うようになったわけではないと感じる。
 この事案は日本という国が、学びの多様性をどこまで認められるかが試されているのだと感じていた。そう考えると、この結論は残念だ。様々な主張が交錯しただろうことは予想できるし、高度な政治も行われたのだろう。しかし教育する権利を握ってきた国が既得権益を守ろうとした、と見えてしまった。公立学校の教員もそう考えたのだろうか。現在の教員の中で、「子供は学校で学ぶことだけが一番幸せだ」と信じているものがどのくらいいるのだろう。一度でも登校しない(いわゆる不登校の)子どもと接したことのある教員は「学校に行かなければいけない」という思いが、どれほどその子を苦しめているのかがわかるだろう。記事の中の「休息」というのも曖昧な言葉だ。学校に登校しない子は別に休んでいるわけではない。むしろ自分の居場所を求めてもがき苦しんでいる。なんの疑問も持たず、学校に行っていればいいと思っている子よりも必死に考えている。
 この次の段階として、フリースクールやホームスクールが義務教育として認められるための検討が行われるのはいつのことになるだろう。中途半端な前進が、ゴールを遠ざけてしまった気がする。